(4) NHK朝ドラ「花子とアン」と[子]

 「花子と呼んでくりょう」

  NHK朝ドラ「花子とアン」は、2014年上半期に放送された(再放送は2017年下半期)。その中で

「はなじゃねぇ、オラのことは花子と呼んでくりょう」

 という言葉がたびたび出てくる。その言葉は「[子]のつく女性の歴史」に良くマッチしている。

 

 もともとは脚本家の中園ミホが『赤毛のアン』の中の次の言葉をモチーフにして書いたものだ。


「アンという名を呼ぶんでしたら、Eのついたつづりのアンで呼んでください』村岡花子訳(1952) ポプラ社版2008,「第3章」p.40

 

 「はな」が東洋英和女学院に入るのは、1903(明治36)年、アン10歳のときのことである。ちょうど、「[子]のつく名前のグラフが立ち上がろうとした時期である。親友の柳原燁子(白蓮)は、1885年生まれの華族だから、生まれながらにして[子]が名前についていても不思議ではない。その時期から、『女学雑誌』という本が発刊され、女学生たちの名前に[子]をつけて掲載していく。「はな」が「花子」という名前に憧れたというのも納得できる。

 このドラマは、よくできている。女性の髪型にしても、本当に正しく表している。時代考証をした人の偉さだろうか。再放送を見ながら、日々感心している次第である。